AMD Ryzen 9 9950Xでも焼損不具合が発生
AMDのソケットAM5マザーボードとRyzen 9000シリーズCPUでは、3D V-Cacheを搭載するRyzen 7 9800X3Dを中心に、ASRockなど一部マザーボードとの組み合わせでCPUまたはソケット部分が焼け焦げる不具合が報告されています。この件についてAMDは、原因は各社マザーボードの設定にあるとコメントしており、BIOSアップデートの適用により解消する見通しを示しています。ところが、任意精度演算ライブラリ「GNU Multiple Precision Arithmetic Library(GMP)」のプロジェクトは、Ryzen 9 9950Xを定格運用(PBO無効)かつ適切なCPUクーラーを用いた環境にもかかわらず、CPUの焼損が2回発生したと明らかにしました。
異なる環境でRyzen 9 9950Xが2つとも焼損


GMPプロジェクトによると、開発中のテストプログラム実行中に、2025年2月ごろまず1個目のRyzen 9 9950Xが焼損。さらに2025年8月24日には、別のマザーボードに搭載していた個体でも焼損が発生したと報告しています。
運用環境はいずれも標準的です。1例目はASUS B650チップセット搭載のASUS Prime B650M-K、2例目はASUS Prime B650M-A WiFidで発生。CPU設定は定格(PBOなし)、CPUクーラーはNoctua NH-U9S、室温は20℃としており、CPUに過度な負荷がかかる状況ではなかったとしています。
原因は不明。詳細調査が求められる
GMPプロジェクト側は、開発中のテストプログラムが想定外の電力消費を誘発した可能性や、2例目ではCPUクーラーをオフセットで固定するマウントを用いていた点などを念頭に置いているものの、プログラムのみで物理的破損に至る可能性は低いとし、また1例目でも焼損が発生していることから、オフセットマウントを決定的な要因と断定するのは難しいとしています。
なお、Ryzen 9000シリーズについては冒頭の通りASRockマザーボードとRyzen 7 9800X3Dなどの組み合わせで多数の焼損が報告されていますが、今回のようにASUS製マザーボード環境でも事例が重なるとなると、AM5プラットフォームまたはRyzen 9000シリーズ自体の問題を疑念視する声が強まる可能性があります。AMDやASUSには、詳細な調査と、問題が確認された場合の対応策についての公表が求められると言えるでしょう。特に去年、世間を賑わせたIntel Raptor Lakeの問題ではIntelの初動対応や公表が遅れたことで同社CPUのイメージダウンに繋がった事態もあったため、同じ轍を踏まないようにAMDの素早い対応に期待したいところです。
コメント